【波瀾万丈】 エシカルSTORY代表木村洋平にインタビューした。中編
僕と孤独と哲学と
東京大学で哲学を学び、市役所勤務、ライター、編集業を経てエシカルメディアで起業。
異色な経歴をもつ木村洋平さんにお話を伺った。
この記事は「中編」です
まだお読みでない方はぜひ前編からご覧ください。
東京大学に進学し、哲学の探求と課外活動に全力を注いだ木村さん。順風満帆な学生生活かと思いきや、まさかの破天荒エピソードが飛び出しました。
中編では大学卒業後のキャリアを各駅停車します!
市役所を4か月のスピード退社・・・母の涙
中瀬:大学を卒業されてからエシカルSTORYを起業するまでの期間、どのように過ごされていたんですか?
木村:大学院を出た後は市役所に入庁しました。正規の行政職です。「安定就職だから」という親の勧めもあり働き始めましたが、私には市役所の仕事が合わずすぐ辞めてしまいました。
仕事を辞めた後はフリーランスとしてライターを始めて、現在も続けている編集者の仕事を始めました。
中瀬:市役所の仕事はどういったところが合わなかったのでしょうか?
木村:お役所体質な仕事です。ルーティーンワークをやり続け、生活は全部保証されている、という仕事のスタイルが私には合いませんでした。
ただそれ以上に辛かったのは、哲学に関する執筆が全然できなかったことです。
私は二十歳の頃から、『遊戯哲学博物誌』という本を書き上げて世に出す目標がありました。
しかし、市役所で働いていると、書く時間を確保するのが難しい。そこですごく葛藤しました。
中瀬:すぐ辞めてしまったんですか?
木村:4か月くらいだったかな。
目にも止まらぬスピードで仕事を辞めた木村さん。
周囲の反応が気になります。
中瀬:早いですね笑。両親からは何か言われませんでしたか?
木村:やめなくていいじゃないと言って泣きましたよね。母親は。
中瀬:親御さんの勧めで、というのもありましたからね。
木村:両親だけでなく親戚や友人の反応は、「市役所辞める人なんて聞いたことないよ」という感じでした。
よほどハラスメントなどがあれば別だけど、今でも市役所の正規職員が辞めるっていうのはなかなか聞かないですからねえ笑。
まさかのスピード退職を実現した木村さんは、編集者の道へ進みます。
そしてついに、エシカルSTORYが設立されます!
エシカルSTORY立上げ!どんな無礼者も拒まぬ寛容すぎる心構え
木村:市役所を辞めた後はライターの仕事をしていたんですが、編集者という仕事の方が割が良いと感じ、編集者の仕事をするようになりました。
中瀬:割が良かったと言いますと?
木村:ライターは正直「名乗った時点でなれる」ものですが、編集者は出版業界・メディア業界での経験と知識が必要なので、編集者の方が報酬や待遇がいいんですよ。私は元々編集してもらう側でしたが、印税をもらうよりも編集者の方が報酬がいいということで、フリーの編集者になりました。
中瀬:なるほど。編集者として活動を開始して、どのようにエシカルSTORYの立ち上げに至ったのでしょうか。
木村:編集者として様々なジャンルの編集を横断的に行っていくうちに、段々と自分の軸が欲しいと思い始めました。
自分自身も学生時代に病気で苦しんだ経験がありましたし、周りにも苦しんでいる人がいて話を聞くこともありました。
丁度そのときにコワーキングスペースに入居していて、「木村さん起業したらいいんじゃないですか?」とアドバイスをもらいました。
事業内容の壁打ちやプレゼンを経験して、社会課題の解決を目指す人を助けるメディアをやることに決めました。
ついにエシカルSTORYが登場しました!
中瀬:エシカルSTORYのサイトを拝見しましたが、メンバーも多く加わっていますね。
木村:仲間は出版業界の時にデザインを手伝ってくれた方とか、「経験ないけどライティングやらせてくれませんか?」と声をかけてくださる方もいましたね。
中瀬:エシカルSTORYのチームには学生インターンもいますが、記事を見た方が自然発生的に集まってきた感じなんですか?
木村:少なくともリクルートの活動はほとんどしていなくて、初期に一度ライター募集を出しただけですね。
もういいかなと思ってライター募集の投稿に「現在は募集しておりません」と追記したんですが、二年後にいきなり声を書けてくる人もいましたね。
中瀬:「二年前に見たんですけど今も募集してますか」みたいな感じですか?
木村:さすがにそうではないと思いますが笑。たまたま二年前のお知らせを見たのでしょうね。
そういう時、「人は足りてるんだよな~」というタイミングもありましたが、「ライターではなくてSNS担当してくれませんか?」など何らかの形で働けるようにしていました。
孤独な学生時代から公務員の電撃退職。
あまりにもパワフルな木村さんは自然と人が集まっていきます。これが人の魅力、というものなのでしょうか。
木村:私は問合わせに対して無視をしない、ということをとても大事にしてます。
趣旨がよく分からない問い合わせとか、明らかに一方的なお願いで「無料で拡散してほしい」みたいな問合わせも来ます。
ただそこで「無礼な奴だな」と無視はしない。必ず丁寧に返信するように心がけています
中瀬:なるほど。(私のことを言っている・・・のか・・・?)
木村:でも意外と受けてみると、最初「ん?」と思った人から熱意のあるオファーをもらったり、予期せぬ良いことに繋がることもある。
中瀬:木村さんはつながりで人生を広げてきたからこそ、「無視しない」というマインドをもっていらっしゃるんですかね。
木村:そうですね、人生成り行きです笑。
私たちの取材もほとんど説明なしに受けてくれました。
中瀬:メディアを運営する中で、メディアを届けるターゲット像はありましたか?
木村:自分の頭で考えて、自分の足で求めているところに行って、自分で手を動かしてモノを創る。そういう精神的に独立している方で、エシカル、サステナブルの方向に行く人に届いてほしいと思っています。
中瀬:私もメディアを拝見する中で、自分で考えて自走して動くという価値観がベースにあるのかなと思いました。
木村:私は自分の考えとか信念をもって動く人がすごく好きです。
私が取材した人は皆さんそうだと思う。上から言われたことをやってます、みたいな方の記事はあまりないと思う。
私がエシカルストーリーで一番最初に取材した一本目の記事が田口愛さんなんですよ。田口愛さんはその後とても有名になられて、今はガーナにおられるんですけど。
中瀬:あ、カカオの活動をされている方ですよね。テレビで見たことがあります。
木村:私が取材したときは全然有名じゃなかったんですよ。「自分がプロデュースしたぜ」とか言いたいわけではまったくないです笑。そうではなくて、独立して何かやろうとして生き生きしている方をいち早く見つけられたことを誇りに思っています。
SDGsというトピックの難しさ
中瀬:メディアを運営する中で、苦労したなと思うことはありますか?
木村:記事の閲覧数が上がらなかったことですね。大企業の取材記事を出して一時的にアクセスが増えたこともありました。
しかし、ひと月あたり5,000~6,000人くらいでした。2023年に休止するまでの2年間くらいそれが続きましたね。
緩やかでも右肩上がりになってれば「あ、伸びてるな」と思えるじゃないですか。本当に変わんないんですよ、ずっと。
中瀬:なるほど。
木村:メディア運営者として僕のやり方は絶対マネしちゃだめだと思うよ笑
中瀬:エシカルストーリーは今休止という形をとられていますが、また再開したいと思っていますか。
木村:うん、年内には再始動したいなと思ってます。実はコロナに感染して、その後遺症で半年くらい体力が落ちてたんですよ。
エシカルSTORYを立ち上げて編集者もして、メディアや関係者各所を回ったり。起業してから3年くらい無理して動き回ってた反動もあったと思います。
やっぱりこの人行動量がすごいよ・・・
中瀬:なんと、そうだったんですね。今後SDGsの領域でどのような事業をやられるつもりですか。
木村:エシカルSTORYの経験も活かして、コミュニティサービスとしてもう一回作り直そうと思っています。というのは…
オウンドメディア「エシカルSTORY」を立ち上げたものの、閲覧数の伸び悩みやコロナ感染という苦労も味わった木村さん。最終編では木村さんのSDGsに対する見解、そして今後の展望を聞いていきます。
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