【洗剤を使わない洗濯!?】株式会社wash-plus代表取締役 高梨健太郎さん#1
地域住民に愛されるコインランドリーを作る
『洗剤を使わないコインランドリーを作る』
2013年に創業したコインランドリーwash+は宿泊施設にも導入されている。
知られざる創業ストーリーはまさにジェットコースター。
人にも環境にも優しい洗濯手法の仕掛け人、高梨健太郎さんにインタビューをした。
Interviewee
高梨 健太郎
Takanashi Kentaro
株式会社wash-plus 代表取締役
1991年 市川商工会議所入社
2007年 家業である株式会社協同住宅 代表取締役
2013年 株式会社wash-plus創業
コインランドリー事業は直営店21店・フランチャイズ25店・ホテル用10店を展開(2023年12月現在)
第 41 回 IT 賞「IT 賞(顧客・事業機能領域)」受賞など数々の受賞経歴
株式会社wash-plusが行っている事業は以下の2つ!
①洗剤を使わないコインランドリー『wash+』
約10年前(2023年12月現在)では誰も発想していなかった「洗剤を使わないアレルゲンフリーな洗濯」をコインランドリーで行ったのがwash+。
wash+ではアルカリイオン電解水を用いて洗濯をします。
wash+は直営店、フランチャイズ、ホテル用も含めて50店舗以上を展開しています。
②コインランドリープラットフォーム『smart laundry』
アプリを入れればコインランドリーの支払いをスマホから!
洗濯の終了通知、洗濯機の窓のブラインドON/OFF、閑散期や天候による割引制度などsmart laundryを通じた圧倒的な顧客体験を提供します。
洗剤を使わない洗濯!wash-plusのコインランドリー
中瀬:本日はよろしくお願いいたします!
高梨:よろしくお願いいたします。
中瀬:洗剤を使わないコインランドリーというものを使ったことがないのですが、どの程度の汚れなら落とすことができるのでしょうか。
高梨:洗剤を使った場合と変わらないですよ。
中瀬:そうなんですか!それは驚きです。
高梨:私がwash-plusを創業した約10年前から、アルカリイオン電解水を使って油汚れを落とすのは技術的に可能でした。
ただ、コインランドリーにそれを持ち込んだ人がいなかったんです。
中瀬:そうだったのですね。
高梨:コインランドリー業界でアルカリイオン電解水を利用するという発想はまったくありませんでした。
業界の人からすると私は異常な人間に見えていたのだと思います笑。
中瀬:しかし、今ではSDGsという言葉が普及しました。かなり周囲からの見られ方に変化があったのではないでしょうか。
高梨:それは非常に感じています。私が創業した時はSDGsなんて言葉を聞いたこともありませんでした。
ここ最近になって、コインランドリー業界でも当たり前になってきている。SDGsという言葉が社会の流れを作ったのだと思います。
中瀬:wash-plusのコインランドリーでは貸ロッカーや宅配スペースがあるものもあります。
高梨:はい。新しく店舗を出す時に意識していることは、同じような店舗を作らないということです。
1店舗目はここが良くなかった、2店舗目はここが良くなかった、という風に常に前回の反省を活かした店舗作りを意識しています。
1店舗1店舗がチャレンジなのでかなりノウハウが溜まってきています。
中瀬:例えばどんな店舗の改善策を講じているのでしょうか。
高梨:例えばコインランドリーを利用中に家に帰ってしまって、洗濯が終わっても洗濯物の回収がされないという課題があったんです。
それに対抗して、内装をより居心地良くしてコインランドリーに滞在してもらおうとしました。
中瀬:なるほど。
高梨:居心地良くしすぎた結果、お客様以外の人が酒盛りをし始めてしまい、この施策は失敗でしたけどね笑。
中瀬:居心地良くしすぎましたね笑。
高梨:私はwash+がただのコインランドリーではなく、街の人に愛されるものになって欲しいと思っています。
高梨:高田馬場店では、コインランドリーに併設して広島県三原市のアンテナショップを開いています。
普通のコインランドリーでは考えられないかもしれませんが、少なくとも広島出身の人たちには愛されるコインランドリーになるのではないでしょうか。
究極の形は、仮にコインランドリーが撤退することになったとして、街の方から反対の声が上がるようなものにしていきたいと思っています。
smart laundryでもっと便利なランドリー体験を!
中瀬:smart laundyに関しても、とても痒いところに手が届くサービスだなと思っています。
私もコインランドリーの乾燥機を使うことがありますが、乾燥が終了する時間が分からないまま外出して洗濯物を放置してしまったことがありました。
終了時間をスマホで通知してくれるのはとても便利です。
高梨:はい、このシステムの着想を得た体験は2つあります。1つはスーパーのお惣菜の安売りです。
スーパーだと閉店間際になるとお惣菜が値引きされるじゃないですか。あれをコインランドリーでやりたいと思ったんです。
中瀬:確かにコインランドリーで値引きされるイメージはないですね。
高梨:初めはバーコードを読み取ったらクーポンが使えるというものを作りました。
smart laundryを開発した今では、収集した天候や閑散期のデータをもとにダイナミックプライシングする仕組みに到達しました。
タイミングによって利用料が安くなってたらラッキーだね!
中瀬:2つ目の体験は何だったのでしょうか。
高梨:2つ目の原体験は、我々がコインランドリーの制作でお世話になっているメーカーさんが集中精算機を作る予定だと言ってきた事です。
簡単に言うと、コインパーキングのような仕組みを作ろうとしていました。1つの機械で精算をして、店内それぞれの洗濯機を動かすイメージです。
高梨:しかし、スマホで決済ができるような仕組みがあるのにコインランドリーに集中精算機を導入する必要があるのか?
コインランドリーの値引きシステムを構想していたこともあり、コインランドリーの精算もスマホでできるようなシステムを開発して、値引き機能も搭載しようと考えました。
中瀬:すごいですね。アイデアが止まりませんね。
高梨:私もシステムのことに関しては専門家ではないので、昔からのつながりを辿ったり、コインランドリーのメーカーさんを4時間かけて説得して説き伏せたりしました笑。
説得を始めて4時間後にメーカーさんからは「そこまで言うならやってみなよ」とコメントをいただいたそうです。
宿泊施設でもwash+!
中瀬:wash-plusのランドリーは星野リゾートなどの宿泊施設でも導入されていますね。これはどのような経緯だったのでしょうか。
高梨:元々宿泊施設に導入しようという考えはもっていませんでした。
wash-plusが日本サービス大賞をいただいた時に、星野リゾートさんも受賞していました。
星野リゾートさんは西表島に宿泊施設を持っていました。自然が観光資源となっていたので、洗剤の排水を減らしたいというニーズとwash-plusの洗濯技術が合致したのです。
中瀬:次々と事業が拡大していきますね。
高梨:もう1点宿泊施設でwash-plusを入れていただく理由として、人体への負荷があります。
例えばホテルの予約をするときに、食べ物のアレルギーはありますか?と聞かれると思います。
私は洗濯に関してもアレルギーを聞くべきだと思っています。なぜなら、洗剤を使って洗濯することが化学物質過敏症であったり、アトピーを持っている人を苦しめる可能性があるからです。
中瀬:確かにそうですね。化学物質過敏症だと夏になると制汗剤の匂いでめまいがする、という人もいると聞きます。
洗剤を自然に流さないこと、お客様に配慮したサービスを届けられること。
この2点が今後の宿泊施設のサービス向上に効果があると考えられているんだね。
次回予告・wash-plusの挑戦文化を支える2時間。高梨さんのリサイタルとは?
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