【最新版】鉄道業界で広がりをみせるSDGsの取り組み

私たちの暮らす日本において、SDGsの理解は日々高まってきており、多くの企業が独自の方法で貢献しようとしています。その中でも、交通手段として身近な鉄道業界もSDGsを重要な経営の柱として掲げ、前向きな取り組みを加速させているのが注目されています。

この記事では、SDGsの基本的な意味を一度おさらいしてから、私たちの移動を支える鉄道がどのようにしてこれらの目標を推進しているかを見ていくことにします。

鉄道業界のSDGsへの取り組み

そもそもSDGsって?

SDGs、これは「Sustainable Development Goals」の略で、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」となります。つまりは、私たちの地球と日々の生活を未来にわたって守るための国際的な約束です。この約束は2015年に国連で採択され、貧困、飢餓の撲滅、環境の保護など、広範な分野にわたる17の目標を2030年までに達成することを目指しています。

さて、では鉄道業界はこれらの目標達成のためにどのような役割を果たしているのでしょうか。
次からはその関連性に迫ります。

鉄道業界とSDGsの関わり

鉄道は、飛行機や自動車に比べて二酸化炭素の排出量が少ないため、環境に優しい移動手段としてSDGsへの貢献が期待されています。

現在ではただの移動手段として利用されるだけではなく、地域の成長と発展に寄与するエコフレンドリーな存在です。通勤、通学における移動手段や、地域開発の核としての役割を果たす鉄道業界は、SDGsの目指す目標に貢献する数多くの活動を行っています。

鉄道会社のユニークなSDGsの取り組み事例

鉄道は比較的低い二酸化炭素排出を持つ交通手段ですが、エネルギー供給には電力や石油などの化石燃料が使われ、それに伴って二酸化炭素が排出されています。持続可能な開発目標(SDGs)の13番目の目標である「気候変動への対策」への貢献を考え、鉄道会社はエネルギー源の転換やエネルギー効率の向上に取り組んでいます。

エネルギーロスを最小限に。ハイブリッド車両の導入|JR東海

鉄道各社でハイブリット車両の導入が進む中、特に目覚ましい省エネ化に成功しているJR東海は、特急車両にハイブリッドシステムを導入、2022年7月から運行を開始しました。

これらの車両は、安全性と快適性を維持しながら、環境性能を大幅に向上、なんと二酸化炭素排出量を従来比で30%も削減に成功しました。その理由は、これまで見逃していたエネルギーの有効活用にあります。SDGs目標に対する技術革新によって、電車がブレーキをかけた際に発生するエネルギー「電力」を効率的に利用することが可能になり、蓄電した電力は駅の照明や案内看板のLEDなどにも活用がされています。

出典:https://www.toretabi.jp/railway_info/entry-6415.html

微生物で電車を動かす!|JR西日本

JR西日本は、次世代のバイオ燃料を活用することにより、鉄道輸送の環境負荷を低減させるための実証試験に取り組んでいます。この新型バイオ燃料は、分子構造が軽油と類似するため、一般的なディーゼルエンジン同様に100%純粋な形でエネルギー使用が可能になります。

JR西日本は植物由来のバイオ燃料を使用した走行試験を既に行っており、鉄道業界初の実際の乗客を乗せた上での試験運行も予定しています。今回のバイオ燃料は、微生物であるミドリムシが体内に蓄積する油脂を原料としています。ミドリムシは光合成により成長の過程で大気中の二酸化炭素を吸収するため、このバイオ燃料を使用した際の排出二酸化炭素量は実質ゼロ(カーボンニュートラルという)とみなすことができます。

この取り組みが成功すれば、地方路線で運行されている鉄道車両から排出される二酸化炭素を大幅に削減し、地球温暖化対策だけでなく、新エネルギー活用の未来に貢献することに繋がります。このようにJR西日本は、環境に優しい運行を目指し、実用化に向けて積極的な試みを進めていることが伺えます。

出典:https://www.westjr.co.jp/press/article/items/220824_03_press_baio.pdf
https://www.euglena.jp/businessrd/energy/greenoiljapan/

美しい未来へ走る「SDGsトレイン」|東急電鉄・阪急阪神の共同企画

見た目においても周辺地域や路線を盛り上げる取り組みがSDGsトレインです。SDGsトレインは日本の東急グループと阪急阪神ホールディングスが展開するプロジェクトで、鉄道を通じて持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みを周知・推進しています。これらの列車は、SDGsを象徴するデザインで装飾されており、省エネルギー技術と再生可能エネルギーを活用して運行されています。

東急グループは「美しい時代へ号」という列車で、SDGsの17の目標をキラキラと光が反射するモザイク模様で表現されています。阪急阪神は「未来のゆめ・まち号」にて、さまざまな人、生き物が地域社会をより良い未来へと象徴するイラストが採用されています。両グループの取り組みは、環境保護だけでなく社会に対する意識の向上にも大いに役立っています。

阪急阪神:https://www.hankyu-hanshin.co.jp/yume-machi/sdgs-train/

東急電鉄:https://tokyugroup.jp/sdgs/train/

鉄道がフードロス削減へ!? | 東武鉄道 x TABETE

SDGsのアプローチとして「貨客混載」が注目を浴び、実際に活用が進んでいる事例もあります。首都圏の大手私鉄である東武鉄道の東武東上線では、2021年8月から「TABETEレスキュー直売所」の本格運用が開始されています。

これは、東松山市周辺の直売所で売れ残った農産物を東上線の列車に載せて始発駅の池袋駅へ輸送・特別価格で販売することで、食品ロス削減を目指す画期的な取り組みです。

連携するのは、フードシェアリングサービス「TABETE」運営の株式会社コークッキング、そして東上線沿線に位置する東松山市、JA埼玉中央、大東文化大学。この取り組みの核となるのは「TABETEレスキュー直売所」です。ここでは、JA直売所で売れ残った農産物を集め、東武鉄道の東上線を活用して都心部へと輸送、新たな市場で販売することで食品ロスを減らすという施策です。まさに地域一帯となって「貨客混載」を利用した地域の活性化やSDGsへの取り組みが行われているのです。

SDGsを軸に産学連携による学びの場が創出

このプロジェクトは、ただ食品を輸送するだけでなく、学生にとっては実践的な学びの機会を提供し、就業体験ができる場ともなっています。また、地域社会の持続可能な発展を促進するという意味で、SDGsの目標にも積極的に貢献しています。企業、地方自治体、教育機関が協力し合い、社会的な価値を創造する産官学連携のモデルケースとなっているのです。このような取り組みは、参加各者のPRにも繋がり、さらなる関心と支援を集める機会を創出しています。具体的な成果としては、食品ロスの削減だけでなく、地域経済の活性化、教育の機会拡充、そして環境保護への意識向上に貢献している点が挙げられます。

出典

https://www.tobu.co.jp/cms-pdf/releases/20230317174233-1WEJySTzStVTUVZcDtfyw.pdf

https://www.tobu.co.jp/cms-pdf/releases/20220915111026JSd8evJSDJkuk8kMZUOfLg.pdf

https://www.city.higashimatsuyama.lg.jp/soshiki/16/1473.html

持続可能な未来へ

鉄道業界ではSDGs達成に向け、資源の有効利用、地域社会への貢献、新たな学びの機会創出を担っている核となる存在だと言えます。今回紹介した以外にも様々な取り組みが実施されており、自然と鉄道の調和が取れた循環型社会の発展にこれからも広く貢献してくれることでしょう。

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