【スクープ】奇跡のバイタリスト、発見ー後編ー
奇跡のバイタリスト
逆転だらけの学生生活を送り、東南アジア旅行で価値観が激変。
プラントエンジニアとして海外を飛び回り、現在は大企業で働きながら外部で新規事業の立ち上げも行う。
バイタリティと面白さにあふれた逸材、発見いたしました。
この記事は「後編」です
まだお読みでない方はぜひ前編からご覧ください。
学生時代はロックをかき鳴らし、タイ旅行で価値観が激変。
社会人になり日揮ホールディングスの社員として世界を駆けまわっていた吉井さんですが、ふとしたきっかけでイントレプレナーとしての道のりを歩み始めます。
バイタリティにあふれた怒涛の人生はまだまだ続きます!
これ効率化できるんじゃない?アイデアマン、頭角を現す!
中瀬:プラントエンジニアとして働かれる中で、どうして新しい事業を立ち上げようと思ったんですか。
吉井:一番初めのきっかけは社内で作業自動化を提案したことですね。手作業で行っていた仕事があって、時代遅れなのでシステム化しましょうと。
2つ案を出したのですが、結果的にどちらも開発することになりました。その時はタイでプロジェクトリーダーもしていたので、そちらも回しながらシステム開発も行いました。
2つの開発案件を両方こなしながらタイでリーダー!すごい!
吉井:「新しいことにもっとトライするべきだよなあ」とぼんやり思うようになりました。ちょうどその時に会社が新規事業の社内公募をしていて、同期に誘われる形で一緒に考えるようになりました。
その後、マネージャーに自分たちの事業をプレゼンする機会があり、「君たちそんなにやりたいなら部署移ってやれば?」と言われて。「じゃあ、移ります」ということで新規事業部に異動しました。
それまでやっていたプロジェクトとシステム開発は押し付ける形になったんですけどね笑
日揮で新規事業部へ!
吉井:しかし、当時は会社でも新規事業部はできたばかりで、何をすればいいのか誰もわからない状態でした。社外で勉強する必要があると感じ、セミナーに出たりSDGsについて学ぶようになりました。
吉井さんはこの活動を自費でしてたんだぞ。やっぱり仕事への想いが強いんだね。
吉井:CHANGE by ONE JAPANのプログラムに参加しながら、並行して森林系で新規事業を起こすプログラムにもでていましたね。始動にも参加しました。
CHANGE by ONE JAPANとは、大企業で働く人向けの実践コミュニティ。
約三か月の期間の中で、他参加メンバーや講師陣と共に、自社や社会を変えるスキルセットを学ぶことができる。
もう一個出てきた始動は、経済産業省が主催する「シリコンバレーと日本の架け橋プロジェクト」。
イノベーターに必要なマインドセットやスキルセットを学ぶ国内プログラム、選抜者を対象としたシリコンバレー派遣プログラム、成果報告会で構成される。
中瀬:始動に参加してよかったと思うことはありますか?
吉井:一番は今でも始動メンバーとの繋がりがあることですね。
中瀬:新規事業部の活動はプラントエンジニアの仕事とかなり異なるもののように感じます。難しいと感じる部分はありますか?
吉井:今でも常に葛藤してます。プラント事業はやると進むんですが、新規事業はやっても進まないこともあるので、この部分が全然違うと感じますね。
中瀬:プラントエンジニアリング時代に培った経験やコミュニケーション能力、スケジュール管理などは新規事業の役に立ちましたか?
プラントエンジニアリングの仕事では、様々なリソースを持つ関係者を統率するコミュニケーション力、計画通りに物事を進めるスケジューリング力が求められるんだ。詳しくは前編を見てね。
吉井:役に立ってはいると思います。ただ、新規事業ではスケジュールを細かく立てることはしてません。
プラントエンジニアリングってびっちり予定を決めるんですよ。ただ、新規事業は予測できない点が多かったり、途中で予定が変わることも多いので意識的に余白を残すようにしています。会社では「計画を立てろ!」って言われるんですけどね。
中瀬:会社は任せた仕事の進捗状況とか気になりますもんね。
吉井:実は社外でもプロジェクトを進めていまして、日揮でのプロジェクトと比べてどちらの進捗状況が良いか試してるんですよね。
中瀬:どちらの方がはやいんですか?
吉井:断然社外の方がはやいですね。というのも、大企業故に書類作業であったり稟議を通すのに時間がかかってしまうんですよ。
検証している吉井さん、さすが!
中瀬:始動ではシリコンバレーのメンバーに選出されたんですよね?
吉井:それが渡航前日にコロナになってしまい、せっかく準備してたのに行けなくなったんですよ笑
チーン。面白い話が聞けると思ったのにな。。
中瀬:始動に採択されたときはどの様なビジネスプランを提案したんですか?
吉井:森林とデジタルをかけ合わせた、木材の流通に関する事業提案をしました。
木材の流通というのは普通木を切ってから始まるんですよ。それだと、市場に出た時点で形や長さが決まっていることになり、そのとき需要が無いと売れなかったり、売れたとしても安価になってしまう。
コストをかけて木を切っても売れ残るともったいないですよね。
木を切るのにはかなりのコストがかかるんだって。
吉井:それで、木が立っている状態から木材の流通を始めようと思いました。従来のやり方だと市場にある木材しか選べないんですが、立っている木を3Dスキャンして、その状態で業者側が長さや形を指定して買う方式です。
そうしたら今まで以上の値段で取引されるんじゃないかと思って。
中瀬:画期的に聞こえました。このようなシステムは今はあるんですか?
吉井:出始めてはいるんですが、完璧にできあがったものはないんですよ。
森林の所有者が木の計測データを入力し、木材を欲しい人が木を選んで伐採を依頼できるような、簡易的なシステムを作りました。
プログラミングの自主学習から始めるような感じだったんですけどね笑
中瀬:素晴らしいですね。
人と自然が関わり合い、豊かになる世界
中瀬:日揮で働きながらSUNDREDでも事業をされていると思うんですが、両立して活動されるきっかけは何だったんですか?
SUNDRED株式会社の会社情報が知りたい人はこちら
吉井:SUNDREDの活動は3人でしているんですが、社外セミナーに行っていたときによく会うメンバーだったんです。
他の2人も環境に関する新規事業をしていて、始動が終わった時に「そろそろ3人で新しいことしてみませんか?」という話になりました。
中瀬:そうなんですね。SUNDREDではどのような事業をしているんですか?
吉井:SUNDREDの事業の一つ、フォレストリバイタライズ産業に3人で取り組んでいます。
ムズカシイナマエダ
中瀬:吉井さんが参画する前はフォレストリバイタライズ産業という領域はあったんですか?
吉井:立ち上げようとしていたらしく、イベントに参加した時は仮名称だったんですよ。
その後どうなっているのか気になったのでSUNDREDの社長に聞いたところ、何も進んでいなかったので。「じゃあ3人でやらせてください!」という感じで始めました。
中瀬:SUNDREDは軽いノリでプロジェクトが立ち上がるんですね笑。
SUNDREDでプロジェクトをしてる人は、吉井さんみたいに外から来ている人が多いんですか?
吉井:そうですね。そもそもSUNDREDがやろうとしてる事が「越境人材で産業を立ち上げる」というものなので。
中瀬:まさに吉井さんのような人達が集まって活動しているんですね。
フォレストリバイタライズ産業という名称にはどういった意味があるんですか?
吉井:元々ついてた名前なのであまり意味は分かってないです。実は、この名前言いづらいので変えようと思ってるんですよ笑
中瀬:フォレストリバイタライズ産業の具体的な事業内容をお聞きしたいです。
吉井:我々のビジョンは「森に人が関わるほどに、生態系が回復し、人々の心も暮らしも豊かにする価値循環の仕組みをつくる」です。
吉井:このビジョンをみんなで達成しようということで、オンラインイベントを何回か繰り返して、面白そうだと思ったアイディアを実証する形で取り組んでいます。
吉井さんのSUNDREDでの事業が詳しく知りたい方はこちらから
吉井:あるイベントで、木と人のストーリーを繋げるという半分アートのような活動をしたんですよ。
吉井:木にNFCのチップを埋め込んで、遊んでいる写真をNFCの情報とすぐに紐づけられるようにするんです。木にスマホを近づけると、子供が遊んでいる木のストーリーが見れたりして、木に思い出を埋め込むような作品をつくりました。
我々の理念にもある通り、自然と人が豊かになれるものを作っていきたいなと思っています。
中瀬:日揮と両立してSUNDREDの事業をされてると思うんですが、SUNDREDに専念しようと思いますか。
吉井:金銭面の部分もあって今は両立したいと思っています。精神面でも、日揮を辞めないことで社外で好き勝手できるというのはあります。それに、自分にとって日揮はかなり居心地が良い環境なので。
吉井さんにとって日揮での仕事も天職だったんだね。ちなみに奥さんには「急に会社を辞めないでね」と心配されているらしいよ。
ヨッシードリーム
中瀬:「人が自然に手を加えることで自然をよりよくしていきたい」というところが今の事業の軸になっているんですよね。
吉井:そうですね。人間を自然の一部だと考えると、そうあるべきだと思うんですよ。
しかし現状は、人間が自然に手を加えると言うと良くないように思われることがあります。
人間は他の動物のように自然の循環の一部になってないんですよね。例えば、人間の糞って肥料になったりしないじゃないですか。でも本来的には動物は自然の一部のはずだと思っていて。
人が自然に手を加えることで、人も循環の一部になれたら良いなと思うんですよ。
確かに、人間が森に手を加えると聞くとなんだか環境に良くないように思ってしまうね。
中瀬:「人が何も手を加えてない森林」と「手を加えた森林と」では生態系がどのように変わるか、実証されるものなのでしょうか。
吉井:まさにそこがポイントだと思っていて、10年後にその森がどの様な姿になっているか、見える化できるようにしたいと思っています。
中瀬:現状で「これだったら出来る」というアイデアはあったりしますか?
吉井:いくつか案はあります。ただ我々が開発するというよりは、土や水を研究している人はたくさんいるので、その人達と一緒に実現するのが役目だと思っています。かなりアカデミックな領域で、専門家の知恵を借りています。
中瀬:活動を通してこれから実現したいことを教えてください。
吉井:みんながもっと好奇心を持って、自分から行動を起こせる環境を作って行きたいです。その方がみんなもっと生き生きと仕事できるようになると思うので。
社会全体のことをいうと、人がやりたいことをやって、それが社会循環になるってすごく良い事だなと思っていて。みんながもっとハッピーになれる仕組みをつくってみたいと思います。
吉井さんは、本業で働きながらも社外で事業を立ち上げていて、まさに実現したい社会を体現されているね!
完